遺贈寄付

■関心広がる「遺贈寄付」

「遺贈で、子どもたちへ、贈り物を。」――先般、毎日新聞に、このような文言で大きな見出しのついた全面広告が掲載されました。全国規模で活動する財団による「遺贈寄付」についてのご案内でした。

「遺贈寄付」とは、生前に作った遺言書に従って、遺産の全部もしくは一部を特定の個人、団体に寄付することです。当事業団にも時々、個人もしくは個人から依頼を受けた専門知識を持つ事務所の方から問い合わせがあります。当事業団が行っている社会福祉事業の種類(募金の種類)▽寄付しようとしている財産の受け入れが可能かどうか、などです。

ご承知のように、当事業団では、多くの皆さんからのご寄付を基に、児童福祉施設で生活する子どもたちへの入学・卒業のプレゼント贈呈▽東日本大震災で保護者を失った子どもたちの進学を支える希望奨学金の給付▽海外難民の支援▽障がい者や小児がんと闘う子どもたちへの支援――などを行っており、「遺贈寄付」を考えておられる方のご意向によって活用先が違ってきます。

「遺贈寄付」は、まだ広く認識されていないかもしれません。毎日新聞の記事(2019年1月8日付)によると、遺産の相続人が不在で、国庫に納められた財産の総額は、2017年度で約525億円となり、その5年前に比べると1・4倍になったそうです。そうした中、「自分の思いに沿う社会貢献活動に使ってほしい」と、「遺言」によって財産の寄付先を決めておく「遺贈」への関心も広がりを見せ、全国の相談窓口には約1000件の問い合わせがあったと報じています。

自分の意思を残す「遺言」は一般的に▽全文、日付、作成者の名前を直筆で書く「自筆証書遺言」▽公証人が公正証書を作成し保管する「公正証書遺言」▽内容を秘密にしておきたい場合、作成者が署名捺印し、同じ印鑑で封印をして公証人に封書を提出する「秘密証書遺言」があり、それぞれの方法にメリット、デメリットがあります。もし「遺贈寄付」を検討されているのであれば、希望する内容がきちんと反映され、後でトラブルが生じないよう、事前に弁護士や司法書士、税理士などの専門家に相談されることをお勧めします。