2023年度事業計画

(2023年4月1日~2024年3月31日)

公益目的事業1(指定寄付に基づく社会福祉事業)

【海外難民救援金】

毎日新聞社と東京、大阪、西部の3事業団が1979年から取り組んできた。毎日新聞紙面と連動した「海外飢餓・難民救援キャンペーン」は、新型コロナウイルス禍で中止していた海外取材を3年ぶりに実施。ロシア軍の侵攻で隣国に逃れたウクライナの避難民を取材した。例年、特集、連載記事に対する読者の反響は大きく、23年度も継続する。寄付金はこれまで通り、地元出身者が中心メンバーのペシャワール会、ロシナンテスをはじめ国境なき医師団など実績を残している日本のNPO、さらにユニセフや国連難民高等弁務官事務所など信頼できる国際救援機関に寄託して難民救援を推進。ウクライナ避難民の支援も継続する。

【大規模災害被災者救援金】

国内外を問わず、予期せぬ大規模災害が発生し、大きな被害が出た場合、東京、大阪の事業団と協議して、緊急に被災者救援金を呼び掛ける。22年度は、国内各地で大雨による被害が発生したが、幸いにも広域にわたる甚大な被害はなかった。しかし、年度末にトルコ南部で地震が発生、救援金を呼び掛けた。23年度も当面、トルコ・シリア地震救援金を呼び掛ける。

【毎日希望奨学金】

東日本大震災で保護者を失った生徒・学生に対する奨学金で、11年度からスタートした。返済の必要がない給付型奨学金で、23年度も継続して奨学金を募り、生徒・学生の生活を支援する。

【小児がん征圧募金】

1996年から続く毎日新聞と毎日新聞社会事業団のキャンペーン「生きる――小児がんの子どもたちとともに」と連動した募金。小児がんの子どもを守る会や保護者グループなど、病と闘う子どもたちを支援する組織の活動援助金に充てる。23年度も継続、これまでと同様の支援ができるよう努力したい。

公益目的事業2(一般寄付に基づく社会福祉事業)

【児童福祉事業】

●児童福祉施設への新入学・卒業祝い品プレゼント
歳末助け合い募金「愛の義援金」を主な財源として、福岡、山口の児童養護施設や障害児・肢体不自由児・母子施設などで暮らす子どもたちのうち▽小学校入学予定者にランドセルやリュックサックなどの通学用品▽中学・高校を卒業予定者には図書カードや目覚し時計――のお祝いを贈呈する。対象となった児童・生徒はもちろんのこと、各施設や保護者などから喜ばれており、23年度も継続する。
●福岡・筑豊・京築地区の施設入所の子どもたちのボウリング大会や合同自立体験セミナーなどを支援
3地区の児童福祉施設の施設長会は毎年、熱心な交流事業を展開。ボウリング大会は田川児童相談所管内の11施設の小学生~高校生を対象に6月と2月の2回に分けて実施。児童養護施設に在籍の高校生には夏休みを活用して職場体験・職場見学などを行う。卒業後の実社会で必要なマナーや心構えなどを学ばせるほか、秋には管内施設の交流レクリェーション大会を開いている。同施設長会のこうした積極的、意欲的な事業を当事業団も全面的に支援するため、23年度も継続助成する。
●「一円玉募金」による無料学習塾事業を支援
「NPO法人 和む」の吉本満廣・理事長が、市民から広く浄財を集め、給付型奨学金支給するため、15年秋から始めた「一円玉募金」。奨学金の受給者がいなくなるため、経済的に困っている家庭の中学生を対象にした「無料の食事付学習塾」を新たにスタートさせた。19年度から関わってきた当事業団も要請があれば23年度も助成する。

【障害者福祉事業】

助成件数が最も多く、通常は年間20件ほどの催事や企画、活動に助成金を出している。大別すると野外キャンプ▽ふれあい交流事業▽スポーツ・文化活動――で、主なものは次の通り。

●毎日サマースクール
当社会事業団と山口県下関市教委などとの共催事業で、同市立支援学校中学生の合宿訓練の一つ。毎年6月末~7月中旬にかけ、市内の知的障害者支援施設に宿泊して、施設利用者らと交流しながらの訓練で、中学生の適性を探り、将来の生活に生かすのが目的。23年度も例年通り助成する。
●障害児と健常児を交えた野外キャンプなどへ助成金
福岡県久留米市の「ごろりんハウス」などが独自に実施する野外キャンプに助成金を出しており、23年度も継続の予定。障害のある子どもと障害のない子どもが互いに助け合い、理解を深め、協力し合う大切さを学ぶ意義ある活動として評価されている。福岡市内の脳性マヒ児童のための母親研修キャンプなどへの助成も継続する。
●障害児・者のスポーツ・文化活動を広範に支援
スポーツ大会では、北九州市内の身体障害者らの水泳大会▽九州各県聾学校の持ち回りによる九州聾学校体育大会▽ふうせんバレーボール大会▽障害者ボウリング大会――などに助成金を出すなどして、障害児・者の体力向上と相互交流の推進を支援する。一方、文化活動面では、大阪社会事業団を通じて「わたぼうし音楽祭」や「声の点字毎日」発行、全国盲学校弁論大会に助成金を出すほか、肢体不自由児・者の美術展を後援する。23年度も継続する。
●障害者団体やボランティア団体の各種催事をバックアップ
福岡県中間市の障害児・者育成会のもちつき大会▽北九州市内の障害者らの「出発(たびだち)を励ます集い」▽北九州精神障害者福祉会連合会合同バスハイク――などに助成金や記念品を贈呈しており、23年度も障害者家族や支援組織を全面的にバックアップする。

【医療福祉事業】

●小児医療現場のボランティア団体に助成金
小児がん治療などで入院している子どもに付き添う両親や家族に宿泊施設を提供している「福岡ファミリーハウス」(福岡市)は、九州・山口各地からの利用があり、病と闘う家族の重要な拠点になっている。運営には多額の維持管理費が必要となっており、継続して安定的な支援をするため09年度から助成金を贈っている。23年度も助成団体として引き続き支援していく。
●コロナ対策医療支援金
新型コロナウイルスの感染拡大で、入院加療が必要な患者が増え、医療現場はひっ迫している。危険と背中合わせの医療従事者のマスク、防護服などの資材購入や広範な支援のため支援金を呼びかけ、自治体や各地の看護協会などを通じて贈ってきた。予測は難しいが、感染状況を見ながら、必要であれば23年度も継続助成する。

【高齢者福祉事業】

●遺贈寄付を基にした高齢者施設などへ助成

東京在住だった女性の遺言に基づき、西部・東京・大阪各社会事業団、認知症予防財団が遺贈寄付を受けた。「高齢者福祉に役立ててほしい」との遺言趣旨を踏まえ、当事業団では、23年度も高齢者のための活動を支援する。

【福祉団体助成事業】

●福岡、北九州、佐賀、大分の各「いのちの電話」を継続援助

自殺者数は、このところ減少しつつあるが、自殺を予防するための電話相談「いのちの電話」の必要性は変わらない。それぞれの「いのちの電話」は、ボランティアによる24時間体制で電話相談に応じているが、維持運営を賄う費用は民間の寄付が頼りで、当事業団は23年度も助成を継続する。

●NPO法人抱樸に助成金

抱樸は「ホームレスゼロ」を目指して北九州市内で炊き出しや入居・就職支援、各種生活相談など幅広い活動をしており、新たな拠点施設づくりも進んでいる。23年度も継続を助成する。

●共同募金会を通じて助成

歳末募金「愛の義援金」の中から山口県の共同募金会に寄託。同募金会は、同県肢体不自由児協会を通じて肢体不自由児の研修費に充てており、23年度も継続助成したい。

●「交通遺児を支える会」を支援

突然の交通事故で、一家の生計を支える担い手を亡くした家族の生活は深刻な状況だ。福岡県交通遺児を支える会は、こうした被災者家庭に盆・正月の見舞金や入学・卒業祝い金を贈り、各種の生活相談を受けるなどの活動をしており、23年度も継続助成していく。

●盲導犬の育成・訓練をバックアップ

九州盲導犬協会は、視覚障害者の自立支援のため、多数の盲導犬を育成し、無償貸与している。盲導犬育成には、1頭あたり約300万円の費用がかかり、訓練士の養成や繁殖犬の増加などにも多額の経費を要するため、今後も財政支援が必要であり、23年度も助成を継続する。

【歳末事業】

当事業団収入の大きな柱になっている歳末2大事業を継続・推進する。

●歳末助け合い募金「愛の義援金」
23年度も過去の寄託者に協力依頼状を郵送するほか、毎日新聞紙面に社告を掲載してもらうなどして広く募金を呼びかけていく。
●歳末チャリティー「全国寄贈書画・陶工芸品即売展」
チャリティー即売展は23年度も従来通り開催を予定している。毎年多くの画家や陶芸家などへ依頼状を送り、作品の寄贈をお願いしているが、このところ作品の寄贈数が減り、売り上げも厳しい状況が続いている。ホームページや毎日新聞の紙面に加えSNSなどを利用して広くPR、特に現役世代へのアピールを進める。加えて新たな作家の開拓も図る。

【毎日社会福祉顕彰】

●「福祉の毎日」をアピール
毎日新聞社会事業団の創立60周年を記念し1971年に創設した東京、大阪との3事業団共催事業。福祉関係者の間では受賞が大きな目標になっており、新年度は第53回になる。毎年数多くの推薦の中から厳選した3~4団体・個人を顕彰し、受賞団体・個人に賞金100万円を贈呈する。最近では12、13、15、17、20~22年度に当事業団管内から受賞者・団体が選ばれており、23年度も期待したい。

収益事業(保険に関する事務の受託事業)

公益法人への移行に伴い、当事業団唯一の収益事業として位置づけた。毎日新聞西部本社とその関連会社九州センターの社員を対象にしたグループ保険の事務作業を受託、その手数料を当事業団の公益目的事業に回している。年々、両社の社員数が減り、それに伴って取扱件数、収益共に減少傾向をたどっているが、当事業団唯一の収益事業であり、23年度も継続する。