毎日社会福祉顕彰

受け付けは終了しました。
たくさんの応募ありがとうございました。

第55回毎日社会福祉顕彰を募集 5月末まで

第55回毎日社会福祉顕彰を募集します。全国の社会福祉関係の個人や団体の中から優れた業績をあげている3件を選び表彰します。

【対 象】

〈学術〉社会福祉の向上に顕著な影響を与える研究をした
〈技術〉児童、高齢者、心身障害者などの分野で独創的なスキル、プロセスで効果をあげた
〈創意〉施設、機器などの改善、充実、または活動実務について創意工夫や新技術導入で功績をあげた
〈奉仕〉長年にわたり国際、地域福祉で奉仕活動を続け、将来も継続する強い意志を持つ
〈勤勉〉社会福祉施設に30年以上勤務し、顕著な成果をあげた
〈その他〉新しい分野を開き、時代のニーズに応える福祉活動をしている個人または団体

【推薦方法と推薦書送付】

毎日新聞東京社会事業団のホームページからダウンロードした推薦用紙に必要事項を記入し、5月31日までに下記あてにご送付ください。各都道府県社会福祉協議会でも推薦用紙を配布しています。自薦は無効です。
【送付先】毎日新聞西部社会事業団 〒802-8651(住所不要)
電話093・551・6675

【発表と表彰】

9月中旬の毎日新聞紙上で発表。受賞者に賞金300万円(1件につき100万円)と顕彰盾を贈呈します。10月に東京都内で表彰式を行う予定です。

  • ・主催/毎日新聞東京・大阪・西部社会事業団
  • ・後援/厚生労働省、全国社会福祉協議会

 

「毎日社会福祉顕彰」決まる


福祉の向上に尽くした個人、団体を顕彰する第55回毎日社会福祉顕彰(毎日新聞東京・大阪・西部社会事業団主催、厚生労働省、全国社会福祉協議会後援)に、全国から推薦された41件のうち次の3件が選ばれました。

受賞者には賞牌(しょうはい)と賞金(各100万円)が贈られます。贈呈式は10月31日に東京都千代田区内で行う予定です。

  • ・認定NPO法人チャイルド・ファンド・ジャパン(髙橋潤理事長=東京都杉並区)
  • ・認定NPO法人やどかりプラス(芝田淳理事長=鹿児島市下荒田)
  • ・サンタナ学園(中田ケンコ校長=滋賀県愛知郡)

2024年度 第54回毎日社会福祉顕彰贈呈式 1個人2団体を表彰

(前列左から)やまなみ会の雲林院知恵さん、JFCネットワークの伊藤里枝子さん、いなりやま福祉会の酒井勇幸さん、やまなみ会の森嶋克已さん(後列左から)いなりやま福祉会の渡邊めぐみさん、いなりやま福祉会の安藤正幸さん、 JFCネットワーク推薦者の原島博さん

福祉の向上に尽くした個人、団体を表彰する第54回毎日社会福祉顕彰(毎日新聞東京・大阪・西部社会事業団主催、厚生労働省、全国社会福祉協議会後援)の贈呈式が10月31日、東京都千代田区の如水会館であり、受賞した1個人と2団体に顕彰額と賞金各100万円が贈られました。

「特定非営利活動法人JFCネットワーク」(東京都新宿区)は、海外出身者と日本人との間に生まれた子どもたちの認知など人権を守る活動をしている。伊藤里枝子事務局長は「社会的にスポットが当たらない問題で、子どもたちをサポートしている活動を評価していただいた」と受賞を喜びました。

個人として受賞した「社会福祉法人いなりやま福祉会」(長野県千曲市)常務理事の酒井勇幸さんは、1960年代から障害を持つ子どもたちに接していたことなどを振り返り「伝統ある賞をいただき、身に余る光栄だ」と語りました。

「社会福祉法人やまなみ会やまなみ工房」(滋賀県甲賀市)は、障害者らが自由な発想で創作する「アール・ブリュット」(生の芸術)などで知られる。海外出張中の山下完和施設長のメッセージを森嶋克已理事長が読み上げ「社会貢献という形でご恩返しができるよう、日々精進してまいりたい」と今後の活躍を誓いました。
(2024.11.1 毎日新聞)

特定非営利活動法人JFCネットワーク(鈴木雅子理事長=東京都新宿区)

日本人とフィリピン人を両親に持つ子どもたちの支援に取り組む市民団体が発祥で1994年に設立されました。JFCとはJapanese-Filipino children(ジャパニーズ-フィリピーノ チルドレン)の略称です。貧困から抜け出すために来日し、日本のバーやスナック、クラブなどで接客業で働くフィリピン人女性と、客として訪れた日本人男性との間に産まれた子どもたちの問題は1980年代ごろから目立ち始めました。フィリピンや日本で母親と暮らしながら、父親から養育を放棄されたり、認知されないケースが明らかになり、母子家庭のまま経済的、精神的な支援が必要な子どもたちが取り残されました。

社会問題や国際問題として知られるようになりましたが、国内で専門的に支援に乗り出した先駆けが、JFCネットワークです。さまざまな困難が伴う問題に、弁護士などと連携し、フィリピンに事務所を設置するなどして、認知や養育費を請求したり、子どもの国籍を取得する活動などを行っています。現在でも困難を抱えている子どもたちは多く、貧困という経済的な問題だけでなく、アイデンティティの危機など心の問題を抱え、精神面でのサポートの必要なケースも多くあり、こうした子どもたちの尊厳を守るために人権擁護活動を続けています。

酒井勇幸氏(社会福祉法人いなりやま福祉会 常務理事=長野県千曲市)

80歳になる酒井勇幸さんは現在、長野県千曲市にある社会福祉法人いなりやま福祉会(安藤正幸理事長)の常務理事を務めています。昭和19年生まれの酒井さんは、視力に先天的な障害を抱え、盲学校卒業後、地元の福祉施設に勤務しながら、仲間を集めて「いなりやま福祉会」を立ち上げました。当時は、障がい者の働く場がほとんどないような状況で、1981(昭和56)年、長野県では初めての障がい者共同作業所となる「いなりやま共同作業所」を開設しました。運営マニュアルやノウハウもない時代からのスタートでした。

その後も、徐々に仲間を増やし、野菜売りや募金などの活動を約20年間続け、2003(平成15)年、「いなりやま福祉会」の社会福祉法人の認可を取得しました。酒井さんは理事長に就任し、障がい者が遠方の施設に行かなくてもよいように、千曲市稲荷山地区に、知的障がい者の通所授産施設をはじめ、さまざまな施設や事業の整備に取り組みました。現在では、就労支援事業所2カ所、生活介護事業所1カ所、グループホーム4カ所などを運営し、市民による後援会組織もできました。障がい者が働く喜びを知り、地元で生き生きとした生活が送れるようになり、地方福祉のモデルケースとして知られるようになりました。

社会福祉法人やまなみ会 やまなみ工房(山下完和(まさと)施設長=滋賀県甲賀市)

やまなみ工房は、社会福祉法人やまなみ会が運営するアート工房です。1986(昭和61)年、滋賀県甲賀市に共同作業所として開設され、知的障がいや精神疾患を抱える人々が工房に通い、自由な発想で描く独創的な芸術作品が、国内はもちろん海外でも高い評価を得ています。

当初は陶芸、手工芸の2部門で作品づくりが始まりました。その後、社会福祉法人として正式認可を取得するため、地元の旧甲南町から補助金や土地の貸与が認められ、敷地内にやまなみ工房の建設が始まり、1997(平成9)年に工房が完成しました。

やまなみ工房には、通ってくる障がい者はもちろん、スタッフにも美術を専門的に学んだ人はいません。1989(平成元)年にやまなみ会の共同作業所に支援員として入った山下さんは、「作品作りで彼らがしたいことを楽しくしてもらう」ことを大切したと言います。2008(平成20)年に山下さんが施設長となった後も、夢中になって絵を描く作業をそっと見守り続けました。そうしたアトリエの自由な雰囲気が「自分のやりたいように」「納得するまで時間をかけて描く」という作者の姿勢をうまく引き出しています。完成した作品は、創造性豊かな発想や個性豊かな色使いなどが見る人の目を引きつける芸術作品として注目を集めるようになりました。

最初は3人しかいなかった通所者は、現在90人ほどになりました。なかには、二十代の鵜飼結一郎さんのように、現代アートの聖地と言われるような米国ニューヨークのギャラリーで、初の個展を開くような「アーティスト」も誕生しています。また、多くの人が描いたデザインがファッションやバッグ、和菓子の包装紙などさまざまな分野で採用されています。

工房で作り上げた作品を通じて、やまなみ工房の障がい者が、国内外でその存在を知られ、社会との関わりや人生の喜びを持てるようになっています。