毎日新聞

平成29(2017)年度事業計画

(平成29年4月1日~平成30年3月31日)

今期の展望

普段の生活で、心が安らぐ、明るく爽快な話題が少ないように感じます。いつも、不安や怒りのような何かが胸につかえ、息苦しささえ感じます。株価上昇や一部企業の好調な業績など喧伝されますが、多くの人にとっては人ごとで、個人の生活が潤っている実感は乏しいようです。

国際社会では、米国の新大統領の言動が波紋を広げています。「国境の壁」「環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱」をはじめ、極端な保護主義の主張に世界も、日本も翻弄されています。先行き不透明で、「我々はどこへ行くのか」「あすの生活は大丈夫か」などの思いがますます募り、手探りでのやりくりが続きそうです。

そうした中、当事業団は17年度、公益法人に移行して6年目となります。主たる財源である寄付金は16年度、「熊本地震救援金」に多くの個人・団体から善意が寄せられました。しかし、全体としては、大きな打撃を受けたリーマンショック(2008年)、東日本大震災(2011年)以降の減少傾向は変わりません。もうひとつの柱である全国寄贈書画・陶工芸品即売展の売り上げも、消費の冷え込みや購入者の高齢化などで、かつての手ごたえは戻っていません。今期も厳しい財務状況が予想されます。

当事業団は、これまで通り甘い見通しを排して、運営の効率化や事業の見直しに努めます。さらに、新聞紙面はもちろん、ホームページなどの電子媒体をさらに活用し、寄付の呼びかけや全国寄贈書画・陶工芸品即売展、歳末助け合い募金「愛の義援金」の事業により力を入れ、資金・寄付金の収入増を図ります。

当事業団の果たすべき役割を自覚し、多くの皆さんの協力を得て、微力ながら社会福祉の向上に向けた取り組みを続けていきたいと思います。

公益目的事業1(指定寄付に基づく社会福祉事業)

【海外難民救援金】

毎日新聞社と東京、大阪、西部の3事業団が1979年から取り組んでいます。毎日新聞紙面と連動した「海外飢餓・難民救援キャンペーン」は、16年度も特集、連載記事に対する読者の反響は大きく、17年度も継続します。寄付金はこれまで通り、地元出身者が中心メンバーのペシャワール会、ロシナンテスをはじめ国境なき医師団など実績を残している日本のNPO、さらにユニセフや国連難民高等弁務官事務所など信頼できる国際救援機関に寄託、難民救援を推進します。

【大規模災害被災者救援金】

国内外を問わず、予期せぬ大規模災害が発生し、大きな被害が出た場合、東京、大阪の事業団と協議して、緊急に被災者救援金を呼び掛けます。16年度は、非常に強い地震が続けて起きた熊本地震をはじめ、イタリア地震、東日本大震災に救援金が寄せられました。17年度も、熊本地震、東日本大震災の救援金は継続、ほかの大規模災害があれば、即応して被災者救援金を呼び掛けます。

【毎日希望奨学金】

東日本大震災で保護者を失った生徒・学生に対する奨学金で、11年度からスタートしました。返済の必要がない給付型奨学金で、17年度も継続して奨学金を募り、生徒・学生の生活を支援します。

【小児がん征圧募金】

1996年から続く毎日新聞と毎日新聞社会事業団のキャンペーン「生きる――小児がんの子どもたちとともに」と連動した募金。小児がんの子どもを守る会や保護者グループなど、病と闘う子どもたちを支援する組織の活動援助金にします。17年度も配分団体や寄付金額を増やすことができるよう努めます。

公益目的事業2(一般寄付に基づく社会福祉事業)

【児童福祉事業】

●児童福祉施設への新入学・卒業祝い品プレゼント

歳末助け合い募金「愛の義援金」を主な財源に、福岡、山口の児童養護施設や障害児・肢体不自由児・母子施設などで暮らす子どもたちのうち、小学校への入学予定者にランドセルやリュックサックなどの通学用品を、中学・高校を卒業予定者には目覚し時計や図書カードのお祝いを贈呈。対象となった児童・生徒はもちろんのこと、各施設や保護者などから喜ばれており、17年度も継続します。

●福岡・筑豊・京築地区の施設入所の子どもたちのボウリング大会や合同自立体験セミナーなどを支援

3地区の児童福祉施設の施設長会は毎年、熱心な交流事業を展開。ボウリング大会は田川児童相談所管内の11施設の小学生~高校生を対象に2回に分けて実施。児童養護施設に在籍の高校生には夏休みを活用して職場体験・職場見学などを行います。卒業後の実社会で必要なマナーや心構えなどを学ばせるほか、秋には管内施設の交流レクリェーション大会を開いています。同施設長会のこうした積極的、意欲的な事業を当事業団も全面的に支援するため、17年度も継続助成します。

●母子家庭の子どもたちのクリスマス会を援助

北九州市門司区の母子寡婦福祉会が、日ごろ触れ合う時間の少ない母子家庭の親子を招き、ゆっくり過ごす機会をつくり、一日を心行くまで楽しんでもらおうという趣旨で開催しており、17年度も助成を予定しています。

【障害者福祉事業】

助成件数が最も多く、年間20件ほどの催事や企画、活動に助成金を出しています。大別すると野外キャンプ▽ふれあい交流事業▽スポーツ・文化活動――で、主なものは次の通りです。

●山口県アイリンピック大会

山口県内の児童福祉施設や知的障害者援護施設に入所している子どもから成人まで約3,000人が一堂に集い、スポーツやレクリェーションを楽しんでいます。17年度も例年通り助成します。

●毎日サマースクール

当社会事業団と山口県下関市教委などとの共催事業で、同市立支援学校中学生の合宿訓練の一つ。毎年6月末~7月中旬にかけ、市内の知的障害者更正施設に宿泊して、施設利用者らと交流しながらの訓練で、中学生の適性を探り、将来の生活に生かすのが目的。17年度も例年通り助成します。

●障害児と健常児を交えた野外キャンプなどへ助成金

毎年夏に北九州YMCAや福岡県久留米市の「ごろりんハウス」がそれぞれ独自に実施する野外キャンプに助成金を出しており、17年度も継続の予定。障害のある子どもと障害のない子どもが互いに助け合い、理解を深め、協力し合う大切さを学ぶ意義ある活動として評価されています。福岡市内の脳性マヒ児童のための母親研修キャンプなどへの助成も継続します。

●障害児・者のスポーツ・文化活動を広範に支援

スポーツ大会では、北九州市内の身体障害者らの水泳大会▽九州各県聾学校の持ち回りによる九州聾学校体育大会▽国際車いすテニス大会▽ふうせんバレーボール大会▽障害者ボウリング大会――などに助成金を出すなどして、障害児・者の体力向上と相互交流の推進を支援します。一方、文化活動面では、大阪社会事業団を通じて「わたぼうし音楽祭」や「声の点字毎日」発行、全国盲学校弁論大会に助成金を出すほか、肢体不自由児・者の美術展を後援します。

●障害者団体やボランティア団体の各種催事をバックアップ

福岡県中間市の障害児・者育成会のもちつき大会▽北九州市内の障害者らの「出発(たびだち)を励ます集い」▽北九州精神障害者福祉会連合会合同バスハイク――などに助成金や記念品を贈呈、障害者家族や支援組織を全面的にバックアップします。

【医療福祉事業】

●小児医療現場のボランティア団体に助成金

小児がん治療などで入院している子どもに付き添う両親や家族に宿泊施設を提供する「福岡ファミリーハウス」(福岡市)は、多額の維持管理費を必要としています。活動内容から継続的支援が必要と判断し、09年度以降、安定的・恒久的な支援が可能な助成団体にしています。17年度も助成団体として引き続き支援していきます。

【高齢者福祉事業】

●市民後見センターふくおかに助成金

急速な高齢化に対応するため、市民ボランティアによる「支え合い社会」の実現を目指して07年、福岡市で発足。財政基盤がぜい弱で、17年度も継続して年間運営費を助成します。

【福祉団体助成事業】

●福岡、北九州、佐賀、大分の各「いのちの電話」を継続援助

自殺者数は、長く続いた3万人台を下回っていますが、自殺を予防するための電話相談「いのちの電話」の必要性は変わりません。それぞれの「いのちの電話」は、ボランティアによる24時間体制で電話相談に応じていますが、維持運営を賄う費用は民間の寄付が頼りで、当事業団は17年度も助成を継続します。

●NPO法人抱樸(旧・北九州ホームレス支援機構)に助成金

ホームレスを支援するため、北九州市内で炊き出しや入居・就職支援、各種生活相談など幅広い活動をしながら、ホームレス・ゼロを目指している抱樸に17年度も継続助成します。

●共同募金会を通じて助成

歳末募金「愛の義援金」の中から山口県の共同募金会に寄託。同募金会は、同県肢体不自由児協会を通じて肢体不自由児の研修費に充てています。

●「交通遺児を支える会」を支援

突然の交通事故で、一家の生計を支える担い手を亡くした家族の状況は深刻さを増しています。福岡県交通遺児を支える会は、こうした被災者家庭に盆・正月の見舞金や入学・卒業祝い金を贈っているほか、各種の生活相談を受けるなどの活動をしており、17年度も継続助成していきます。

●盲導犬の育成・訓練をバックアップ

九州盲導犬協会は、視覚障害者の自立支援のため、多数の盲導犬を育成し、無償貸与しています。盲導犬育成には、1頭あたり約300万円の費用がかかり、訓練士の養成や繁殖犬の増加などにも多額の経費を要するため、今後も財政支援が必要であり、17年度も助成を継続します。

【歳末事業】

当事業団収入の大きな柱になっている歳末2大事業を継続・推進する。

●歳末助け合い募金「愛の義援金」

17年度も過去の寄託者に協力依頼状を郵送するほか、毎日新聞社OB、関係会社の方々にも協力をお願いして募金を呼びかけていきます。

●歳末チャリティー「全国寄贈書画・陶工芸品即売展」

チャリティー即売展は17年度も北九州市、山口市、福岡市の3カ所で開催を予定しています。毎年千人近い画家や陶芸家などの先生方に作品の寄贈をお願いする依頼状を送付していますが、ここ数年、作品の寄贈数が減り、売り上げも減少するなど、厳しい状況が続いています。このため、ホームページや毎日新聞の紙面などを活用して、広く周知するため広報・PRの一層の拡充を検討します。また、新たな作家の開拓も図ります。

【毎日社会福祉顕彰】

●「福祉の毎日」をアピール

毎日新聞社会事業団の創立60周年を記念し1971年に創設した東京、大阪との3事業団共催事業で、福祉関係者の間では受賞が大きな目標になっています。毎年数多くの推薦の中から厳選した3~4団体・個人を顕彰し、受賞団体・個人に賞金100万円を贈呈します。12、13、15年度に西部本社管内から受賞者が選ばれており、17年度も期待しています。

収益事業(保険に関する事務の受託事業)

公益法人に移行したことに伴い、当事業団唯一の収益事業として位置づけました。毎日新聞西部本社とその関連会社九州センターの社員を対象にしたグループ保険の事務作業を受託し、その手数料を当事業団の公益目的事業に回しています。年々、両社の社員数が減少、取扱件数も減り収益も減少傾向をたどっていますが、当事業団唯一の収益事業であり、17年度も継続します。