毎日新聞

2019年度事業計画

(2019年4月1日~2020年3月31日)

今期の展望

「平成」と呼ばれた時代が間もなく終わります。この30年余、東西ドイツ統一、ソ連崩壊など冷戦終結への流れが一気に進み、第2次世界大戦後続いた世界の枠組みが激変しました。国内でも政権交代があり、「昭和」のころとは何かが違ってきた感じがありました。

一方で、湾岸戦争や米国の同時多発テロなどが起き、それに続く紛争や無差別テロは終わることなく続き、朝鮮半島情勢の先行きも予断を許しません。さらに国内では、阪神大震災、東日本大震災で多くの人が犠牲になり、毎夏繰り返す豪雨災害が生活に大きなダメージを与えています。経済を取り巻く環境は、「バブル」が早々に弾け、さらにリーマンショックの大波を受けて冷え込んだ時期が長く続きました。安定して、穏やかで、平和なイメージだけの時代ではありませんでした。

そして今。景気は「緩やかに回復」を続け、その長さは戦後最長なのだといわれています。しかし、庶民の多くに実感がなく、裏付けとなる統計作業・数字には疑義が生じています。加えて、秋には消費税率の引き上げを控え、残念ながら、次の時代に向けた明るい展望や希望を見出せる状況にはない、と感じます。

そうした中、当事業団は19年度、公益財団法人に移行して8年目に入ります。法人運営の主たる財源は、これまでと変わらず、寄付金と全国寄贈書画・陶工芸品即売展の売り上げです。社会福祉事業を支える両事業に共通する課題は、これまで活動にご協力いただいた皆さんの高齢化に伴う対策です。歳末募金の郵送案内が数多く「宛名不明」で戻ってくる▽即売展の常連だった方を会場で見かけなくなる――こうした事例は、募金件数の減少、即売展の売り上げ減につながっています。

この先、事業規模を維持していくには、少なくなった分だけ新たに協力していただく皆さんを増やすしかありません。18年度を見ると、西日本豪雨災害や北海道地震が発生すると、多くの皆さんが救援金を寄せ、毎日新聞の記事を読んだ方々が海外救援金や小児がん征圧募金を届けてくれました。即売展も、3会場に初めて来場、購入した人たちも少なからずおられました。こうした動きの中に「新しい力」を取り込んでいく方策の糸口があり、各事業でまだまだ工夫の余地があるように感じます。

19年度はこうした状況を踏まえ、まずは運営の効率化に努めます。さらに、毎日新聞紙面のほかホームページやSNSを利用して、各種寄付や即売展、歳末助け合い「愛の義援金」への協力を呼びかけ、少しでも「新しい力」を増やし、増収につなげていきます。

予定する社会福祉事業は、多くの皆さんのお力添えで成り立っています。当期も手助けを必要としている方々へ、多くの皆さんの善意を一つにして届けます。当事業団が果たすべき役割を自覚して、微力ながら社会福祉向上への取り組みをさらに前進させたいと思います。

公益目的事業1(指定寄付に基づく社会福祉事業)

【海外難民救援金】

毎日新聞社と東京、大阪、西部の3事業団が1979年から取り組んできました。毎日新聞紙面と連動した「海外飢餓・難民救援キャンペーン」は、2018年度も特集、連載記事に対する読者の反響は大きく、19年度も継続します。寄付金はこれまで通り、地元出身者が中心メンバーのペシャワール会、ロシナンテスをはじめ国境なき医師団など実績を残している日本のNPO、さらにユニセフや国連難民高等弁務官事務所など信頼できる国際救援機関に寄託、難民救援を推進します。

【大規模災害被災者救援金】

国内外を問わず、予期せぬ大規模災害が発生し、大きな被害が出た場合、東京、大阪の事業団と協議して、緊急に被災者救援金を呼び掛けます。18年度は、7月に西日本豪雨災害があり広島、岡山両県をはじめ西日本各地で甚大な被害が発生、9月には北海道で震度7の地震もあり、多くの救援金が寄せられました。また、熊本地震や東日本大震災にも引き続き救援金が集まりました。19年度も大規模災害があれば、即応して被災者救援金を呼び掛けます。

【毎日希望奨学金】

東日本大震災で保護者を失った生徒・学生に対する奨学金で、11年度からスタートしました。返済の必要がない給付型奨学金で、19年度も継続して奨学金を募り、生徒・学生の生活を支援します。

【小児がん征圧募金】

1996年から続く毎日新聞と毎日新聞社会事業団のキャンペーン「生きる――小児がんの子どもたちとともに」と連動した募金。小児がんの子どもを守る会や保護者グループなど、病と闘う子どもたちを支援する組織の活動援助金に充てます。19年度も配分団体や配分額を増やすことができるよう努めます。

公益目的事業2(一般寄付に基づく社会福祉事業)

【児童福祉事業】

●児童福祉施設への新入学・卒業祝い品プレゼント

末助け合い募金「愛の義援金」を主な財源として、福岡、山口の児童養護施設や障害児・肢体不自由児・母子施設などで暮らす子どもたちのうち▽小学校入学予定者にランドセルやリュックサックなどの通学用品▽中学・高校を卒業予定者には図書カードや目覚し時計――のお祝いを贈呈します。対象となった児童・生徒はもちろんのこと、各施設や保護者などから喜ばれており、19年度も継続します。

●福岡・筑豊・京築地区の施設入所の子どもたちのボウリング大会や合同自立体験セミナーなどを支援

3地区の児童福祉施設の施設長会は毎年、熱心な交流事業を展開。ボウリング大会は田川児童相談所管内の11施設の小学生~高校生を対象に6月と2月の2回に分けて実施。児童養護施設に在籍の高校生には夏休みを活用して職場体験・職場見学などを行います。卒業後の実社会で必要なマナーや心構えなどを学ばせるほか、秋には管内施設の交流レクリェーション大会を開いています。同施設長会のこうした積極的、意欲的な事業を当事業団も全面的に支援するため、19年度も継続助成します。

【障害者福祉事業】

助成件数が最も多く、年間20件ほどの催事や企画、活動に助成金を出しています。大別すると野外キャンプ▽ふれあい交流事業▽スポーツ・文化活動――で、主なものは次の通りです。

●山口県アイリンピック大会

山口県内の児童福祉施設や知的障害者援護施設に入所している子どもから成人まで約3,000人が一堂に集い、スポーツやレクリェーションを楽しんでいる。19年度も例年通り助成します。

●毎日サマースクール

当社会事業団と山口県下関市教委などとの共催事業で、同市立支援学校中学生の合宿訓練の一つ。毎年6月末~7月中旬にかけ、市内の知的障害者支援施設に宿泊して、施設利用者らと交流しながらの訓練で、中学生の適性を探り、将来の生活に生かすのが目的。19年度も例年通り助成します。

●障害児と健常児を交えた野外キャンプなどへ助成金

毎年、北九州YMCAや福岡県久留米市の「ごろりんハウス」がそれぞれ独自に実施する野外キャンプに助成金を出しており、19年度も継続の予定。障害のある子どもと障害のない子どもが互いに助け合い、理解を深め、協力し合う大切さを学ぶ意義ある活動として評価されています。福岡市内の脳性マヒ児童のための母親研修キャンプなどへの助成も継続します。

●障害児・者のスポーツ・文化活動を広範に支援

スポーツ大会では、北九州市内の身体障害者らの水泳大会▽九州各県聾学校の持ち回りによる九州聾学校体育大会▽国際車いすテニス大会▽ふうせんバレーボール大会▽障害者ボウリング大会――などに助成金を出すなどして、障害児・者の体力向上と相互交流の推進を支援します。一方、文化活動面では、大阪社会事業団を通じて「わたぼうし音楽祭」や「声の点字毎日」発行、全国盲学校弁論大会に助成金を出すほか、肢体不自由児・者の美術展を後援する。19年度も継続します。

●障害者団体やボランティア団体の各種催事をバックアップ

福岡県中間市の障害児・者育成会のもちつき大会▽北九州市内の障害者らの「出発(たびだち)を励ます集い」▽北九州精神障害者福祉会連合会合同バスハイク――などに助成金や記念品を贈呈しており、19年度も障害者家族や支援組織を全面的にバックアップします。

【医療福祉事業】

●小児医療現場のボランティア団体に助成金

小児がん治療などで入院している子どもに付き添う両親や家族に宿泊施設を提供する「福岡ファミリーハウス」(福岡市)は、多額の維持管理費を必要としています。活動内容から継続的支援が必要と判断し、09年度以降、安定的・恒久的な支援が可能な助成団体にしています。19年度も助成団体として引き続き支援していきます。

【高齢者福祉事業】

●市民後見センターふくおかに助成金

急速な高齢化に対応するため、市民ボランティアによる「支え合い社会」の実現を目指して07年、福岡市で発足。財政基盤がぜい弱で、19年度も継続して年間運営費を助成します。

【福祉団体助成事業】

●福岡、北九州、佐賀、大分の各「いのちの電話」を継続援助 

自殺者数は、このところ年間3万人を下回っていますが、自殺を予防するための電話相談「いのちの電話」の必要性は変わりません。それぞれの「いのちの電話」は、ボランティアによる24時間体制で電話相談に応じていますが、維持運営を賄う費用は民間の寄付が頼りで、当事業団は19年度も助成を継続します。

●NPO法人抱樸に助成金

抱樸は「ホームレスゼロ」を目指して北九州市内で炊き出しや入居・就職支援、各種生活相談など幅広い活動をしており、19年度も継続助成します。

●共同募金会を通じて助成

歳末募金「愛の義援金」の中から山口県の共同募金会に寄託。同募金会は、同県肢体不自由児協会を通じて肢体不自由児の研修費に充てており、19年度も継続助成します。

●「交通遺児を支える会」を支援

突然の交通事故で、一家の生計を支える担い手を亡くした家族の生活は深刻な状況です。福岡県交通遺児を支える会は、こうした被災者家庭に盆・正月の見舞金や入学・卒業祝い金を贈り、各種の生活相談を受けるなどの活動をしており、19年度も継続助成していきます

●盲導犬の育成・訓練をバックアップ

九州盲導犬協会は、視覚障害者の自立支援のため、多数の盲導犬を育成し、無償貸与しています。盲導犬育成には、1頭あたり約300万円の費用がかかり、訓練士の養成や繁殖犬の増加などにも多額の経費を要するため、今後も財政支援が必要で、19年度も助成を継続します。

【歳末事業】

当事業団収入の大きな柱になっている歳末2大事業を継続・推進します。

●歳末助け合い募金「愛の義援金」

19年度も過去の寄託者に協力依頼状を郵送するほか、毎日新聞紙面に社告を掲載してもらうなどして広く募金を呼びかけていきます。

●歳末チャリティー「全国寄贈書画・陶工芸品即売展」

チャリティー即売展は19年度も北九州市、山口市、福岡市の3カ所で開催を予定しています。毎年千人近い画家や陶芸家などへ依頼状を送り、作品の寄贈をお願いしていますが、このところ作品の寄贈数が減り、売り上げも厳しい状況が続いています。ホームページや毎日新聞の紙面に加えSNSなどを利用して広くPR、特に若い世代へのアピールを考えます。加えて新たな作家の開拓も図ります。

【毎日社会福祉顕彰】

●「福祉の毎日」をアピール

毎日新聞社会事業団の創立60周年を記念し1971年に創設した東京、大阪との3事業団共催事業で、福祉関係者の間では受賞が大きな目標になっています。毎年数多くの推薦の中から厳選した3~4団体・個人を顕彰し、受賞団体・個人に賞金100万円を贈呈します。